現代山形考〜藻が湖伝説〜


〇二   X教授の研究室

最終更新日:二〇二〇年九月一一日

最終更新日:2020年9月11日


動物考 ─ヤマガタダイカイギュウ
深井聡一郎

山形ビエンナーレ2020のメインビジュアルに使われるヤマガタダイカイギュウの化石を作品化する依頼を受け、県立博物館に取材を行った。ヤマガタダイカイギュウは約900万年前の海に住んでいた海牛類の祖先となる哺乳類で、昭和53年当時小学6年生の2人により大江町の最上川川床で発見された。これは山形が昔は海だった証拠と言える。3D出力された化石を実際に手に取らせていただき、形状の記憶を指と頭に叩き込んで、すぐに制作に向かった。

以前、地質学に詳しい方が山形を訪れ、市内をぐるりと取り囲む独特な山の形状を見て、ここは海の底だったねと言ったことがあった。また大学の発掘調査を体験させてもらった時も現在は田畑となっている平野部分は湖で、山沿いの陸地に縄文人が暮らしていたことを教えてもらった。

我々は太古の海の上に立ち、現代を生きている。伝説が残る地にはその由来が必ず存在し、口伝によって多少の尾ひれはつくものの、そこには尾ひれがつく所以があったのだろうと、想いを馳せてしまう。


02-2-a1~2  深井聡一郎《動物考 ─ヤマガタダイカイギュウ》


深井聡一郎(Souichiro Fukai)

1973年 東京都出身。1999武蔵野美術大学修士課程造形研究科(彫刻)修了。修士。2002~2003年、文化庁在外派遣研修員として英国に滞在。主な個展は、1998年 ギャラリーなつか(同‘00、’01、‘06、’09)、2002年 ガレリアキマイラ、2007年 INAXライブミュージアム、2010年 Art Center Ongoing(同2020)、新宿眼科画廊。主なグループ展は、2003年 破壊しにー ガレリアキマイラ、2005年 第1回出雲・ 玉造アートフェスティバルー光の縁結びー、2006年 colors & forms KABEGIWA、 第9回岡本太郎記念現代芸術大賞(TARO賞)展 川崎市岡本太郎美術館、2007年壁ぎわ KABEGIWA、2008年 空想の花 畑~花と彫刻の美術展 ハウステンボス、2010年 DOMANI明日展 国立新美術館。 2013年〜AGAIN-ST第1~8回展。出版に「AGAIN-ST BOOK」。AGAIN-STメンバー。


作品データ


02-2-a1~2  深井聡一郎《動物考 ─ヤマガタダイカイギュウ》

2020/陶(金彩、パラジウム彩)