現代山形考〜藻が湖伝説〜


〇四   藻が湖伝説

最終更新日:二〇二〇年九月一一日

最終更新日:2020年9月11日


大とかげ退治の大蛇松
アンドスリー

長岡山の頂上には、大とかげを退治した大蛇が姿を変えたという松の木のがある。大蛇松と呼ばれるその松には、村を襲った大とかげを退治した大蛇の話が語り継がれている。この昔話で大とかげは、黒伏山からわき出した黒い雲とともに藻が湖から現れたとされている。

大とかげは突然現れ、大蛇に倒された。その話には昔話によくある教訓のようなものは見当たらず、大とかげは自然災害のように存在している。意思ないもののような描き方をされている大とかげは、しかし生き物の形をしていることによって私たちにその意思のありかを想像させる。


04-6-a1  アンドスリー《大蛇松 予告編》
2022年完成に向けて、まずは各々が想像するこの物語のワンシーンを制作。それを1本の動画にまとめて予告編とした。

04-6-a2  アンドスリー《大とかげアイデアスケッチ》
大とかげが現れた方向にある黒伏山には、龍がいるという伝説がある。「洞窟の奥深くに道知法印が金の杖を持って立っており、その前に金網が張られており、奥には龍が七巻している。」龍といえば水の神を連想させる。トカゲはきっと藻が湖の水を飲んでいたのではないか。地下から藻が湖の水を吸い上げて、水で腹の膨れた龍を”トカゲ”と言ったのではないか?

04-6-a3  アンドスリー《松ウロコの大とかげラフスケッチ》
曲がりくねった身体と、大きく鋭い目、不揃いなウロコ。大蛇松からとかげやヘビになるとしたらどのようになるのか、イメージを付けるために簡易的なシルエットでスケッチを行った。顔は角度によって、平たくも尖ったようにも見え、得体のしれない存在としてのとかげの表現を模索した。

04-6-a4  アンドスリー《大蛇デザイン案》
花田のラフデザインをもとに先﨑が3DCGで制作。蛇はどこからともなく現れて人々を大とかげの恐怖から救う。それは人々にとって神様、仏様のような存在だったのではないか。人から見る神は人の姿をしている。きっとこの蛇も人の姿をしていたに違いないと思った。CGでは生物的なヘビのデザインとは違い、平たい人間的な顔を持つどこか不気味で、神聖な雰囲気を漂わせるため試行錯誤を行っている。(使用ソフト:Zbrush)

04-6-a5  アンドスリー《大蛇松》
コンテから汲み取ったイメージを元に描いた松。今は物語の大蛇松をあえて意識せず、スタンダードな松のイメージをスケッチした。生まれたてである。その存在はどこか異質で畏怖すら感じ取れるよう、松はこれからも化け続ける。

04-6-a6  アンドスリー《荒れた藻が湖 CG試作》
荒れ狂う藻が湖の様子を平面的なタッチ表現をするテスト。通常の波的な表現ではなく、物質的な動きにすることで迫力を出す試作中の動画。


アンドスリー

2020年1月に水野健一郎によって召集された映像制作チーム。初期メンバーは東京都在住の花田真由子(青森県出身)、先﨑大朗(福島県出身)、アリマミユキ(北海道出身)。7月に大阪府在住の千々松昂将(宮城県出身)が加わる。4人は2017年東北芸術工科大学映像学科卒業。


作品データ


04-6-a1~6  アンドスリー《大蛇松 予告編》

2020/アニメーション