現代山形考〜藻が湖伝説〜


〇七   日本のかたち

最終更新日:二〇二〇年九月一一日

最終更新日:2020年9月11日


Fog / 朝霧 ─マミガサキ─
金子朋樹

扇状に開いた山形盆地を流れゆく川、馬見ヶ崎。蔵王はじめ奥羽山脈に源を発し、やがて白川となって須川に合流し、いずれ雄大な最上川へと注ぐ。間々災害をもたらし、近世に流路が変更されるも、古から現代までこの地に住む人々の生活と共に在り続け、今なお悠々と流れ続けるこの川は、山形の“夜明け”と共に在ったと言えるだろう。

現代の社会は、時代の潮流の中で、古きものと新しきもの、文化、思想など様々なものが入り乱れるようにして渾然一体化している。それはこの地も同じで、私自身僅かな年月ながら、時に垣間見、時に皮膚感覚で捉えてきた。これらの様相を、不定形に連鎖する構造に託し、大きな紆濤(うねり)として、また時として歪みやずれとして表したいと思う。

夜が深まると、放射冷却によって川霧が立ち込め、川面や木々がやわらかく包み込まれる。白いもやの下では、川水が絶え間なく流れている。

川霧が消える頃、山形は、また新しい朝を迎えるのだ。


07-6-a  金子朋樹《Fog / 朝霧 ─マミガサキ─》(撮影:草彅裕)


07-6-b1~2  金子朋樹《Undulation / 紆濤 ─オオヤマツミ─》(撮影:草彅裕)


07-6-c  金子朋樹《百代草、花咲きて》


07-6-d1~2  金子朋樹《山祇考 ─連なる、重なる、繋がる─》


07-6-e  金子朋樹《東北巡礼記 白雪図》(正面左)
07-6-f  金子朋樹《東北巡礼記 爆雲図》(正面右)
金子朋樹展 パントノミー ─白紙も模様のうちなれば─(2019年/佐野美術館さんしんギャラリー善[静岡]会場風景)より(撮影:眞野敦)


07-6-g  金子朋樹 写生《羽黒山より月山》


金子朋樹(Tomoki Kaneko)

1976年静岡県御殿場市生まれ。静岡県御殿場市、山形市に在住。2006年東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程美術専攻日本画研究領域修了。2007年にアーティストグループを発起し、6名の作家・研究者とともに「ガロン」を始動。2019年には静岡県小山町、豊門会館旧和田豊治家住宅(国登録有形文化財)を舞台にした展覧会実行組織「おやま豊門芸術祭 うつろいの住処展実行委員会」を発足。2011年平成23年度静岡県文化奨励賞。2012年「ガロン第2回展 日本背景」旧田中家住宅(埼玉)、2019年「金子朋樹展 パントノミー ─白紙も模様のうちなれば─」佐野美術館さんしんギャラリー善(静岡)、同年「うつろいの住処-絵画と彫刻が還る場所-」(静岡)、同年「ガロン第3回展metamorphosis」東北芸術工科大学(山形)などを開催。2016年みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ(2018)に参加。絵画を軸に、社会の重層や均衡、捻れを表現。また、日本の絵画・文化の文脈を再構築した表現を展開している。
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作品データ


07-6-a  金子朋樹《Fog / 朝霧 ─マミガサキ─》

2020/高知麻紙、墨、顔料、箔/210×360cm


07-6-b1~2  金子朋樹《Undulation / 紆濤 ─オオヤマツミ─》

2019/高知麻紙、顔料、染料、墨、箔、泥/360×570cm


07-6-c  金子朋樹《百代草、花咲きて》

2018/杉板、顔料、染料、墨、箔、泥/230×170cm


07-6-d1~2  金子朋樹《山祇考 ─連なる、重なる、繋がる─》

2018/高知麻紙、顔料、染料、墨、箔、泥/245×540cm


07-6-e  金子朋樹《東北巡礼記 白雪図》

2019/高知麻紙、顔料、染料、墨、箔、泥/112×194cm


07-6-f  金子朋樹《東北巡礼記 爆雲図》

2019/高知麻紙、顔料、染料、墨、箔、泥/112×194cm


07-6-g  金子朋樹 写生《羽黒山より月山》

2018/42×198cm