現代山形考〜藻が湖伝説〜


〇七   日本のかたち

最終更新日:二〇二〇年九月一一日

最終更新日:2020年9月11日


白澤について
岡村桂三郎

中国で想像された霊獣であるが、日本でもその存在が信じられており、山海経等で紹介されっている道教上の瑞獣である。往々にして人面獅子身で、時には身体中に多くの目を有し、能く人語を喋り、帝王有徳であれば出現するという。(註1)

三才図会によると「東望山(江西省)に澤獣がいる。一名を白澤。よく言語をあやつる。王者が有徳でその徳が明照幽遠なときは姿をあらわす。昔、黄帝が巡狩して東海に至ったとき、この獣の忠言によって世のために害を除いた」とされている。(註2)

しかし、ここに居る白澤は、言葉を発する口も無ければ、頭も無い。無数の眼を持ってはいるが、何処へ向かおうとしているのか。

註1)『図説日本未確認生物事典』(137-138頁 より引用)
中国で想像された霊獣であるが、日本でもその存在が信じられており、時には獅子の別名ともされているが、中国日本の獅子は実在のライオンのデフォルメから生じた想像上の霊獣とされていて形貌が全く異なっているから、白澤を獅子に該当せしめても、殆どの表現を空想的奇型として形作られる。従って動物学上有り得ない形態と能力を有しており、道教上の瑞獣とされる。往々にして人面獅子身で、時には身体中に多くの目を有し、能く人語を喋り、帝王有徳であれば出現するという。

註2)『世界大博物図鑑5哺乳類』(354頁 より引用)
三才図会の引用として、〈東望山(江西省)に澤獣がいる。─名を白澤。よく言語をあやつる。王者が有徳でその徳が明照幽遠なときは姿をあらわす。昔、黄帝が巡狩して東海に至ったとき、この獣の忠言によって世のために害を除いた〉


07-3-a  岡村桂三郎《白澤》


岡村桂三郎(Keizaburo Okamura)

1958年東京都に生まれる。1985年東京芸術大学大学院修士課程修了、1988年東京芸術大学大学院後期博士課程満期退学。2004-2009年東北芸術工科大学芸術学部教授。現在、多摩美術大学美術学部教授。個展として、東京芸術大学陳列館、1998年佐賀町エキジビットスペース(東京)、1998年清水寺(京都)、2006年佐藤美術館(東京)、2008年神奈川県立近代美術館鎌倉(神奈川)、2015年浜松市秋野不矩美術館(静岡)、2018年平塚市美術館(神奈川)。主な受賞として、1985年台東区長賞、1985,1988年創画会賞、1987年山種美術館大賞展優秀賞、1993年五島記念文化賞美術新人賞、2004年タカシマヤ美術賞、2004年芸術選奨文部科学大臣新人賞、2008年東山魁夷記念日経日本画大賞、2012年MOA岡田茂吉賞絵画部門MOA美術館賞、2020年JAPAN天心賞。


作品データ


07-3-a  岡村桂三郎《白澤》