現代山形考〜藻が湖伝説〜


〇四   藻が湖伝説

最終更新日:二〇二〇年九月一一日

最終更新日:2020年9月11日


藻が湖伝説

現在の山形盆地を巡ると、湖の最深部の「長瀞」や渇水期に水位が下がり通れたという「六月坂」という地名、陸から船に荷を積む際の安全を祈った「荷渡地蔵尊」、西根の「船着観音」と東根の「貴船神社」、根際の「舟つなぎ石」、長岡山の民話「大とかげ退治の大蛇松」といった水の記憶がそこかしこに刻まれています。長瀞猪子踊りの演目の中にも「この土地は 昔湖なりけれど 今は豊かな五穀実れり」という歌詞が残っています。

学術的な研究調査によって藻が湖伝説の妥当性が問われることはありましたが、この伝説が今も地域で語り残されていることも事実です。神や偉人、巨獣が山を裂き、湖水を抜き肥沃な土地に変えるという「湖水伝説」や「蹴裂伝説」は遠野、甲府、奈良などの日本各地にあり、さらにはネパールにも同様の伝説が伝わっており、この伝説を考えることは世界の成り立ちを考えることでもあるのです。



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